Day2:エレノア・エヴァンジェリスタ・アルマスの手記 1P目

この世界に来て、初めて見たのは、あおだった。
見渡す限り、海だ。青々と、美しい。空の蒼と、海の青。同じあおなのに、どうしてあんなに違って見えたんだろう。

私の出身世界、カベル・テックスは、高度に発達した技術によって、何もかもが調整されて生まれてくる世界だった。
例えば、私の、人としては鮮やかすぎる髪の色も、目の色も、両親がそう望んで調整したから。カベルに生きる人々にとっては「普通」だったから、気にしたことはあまりなかったんだけど。

この世界の青は、生まれてそのままなんだ、きっと。とても綺麗で、ちょっとうらやましいと思う。
そんな世界に、人の手を入れていくことがいいことかは、私にはわからない。でも、ありのままの、この世界の姿を見られるのは、探索者じゃなきゃできないことで。だから、私はここにきたんだ。
知らないものを見るために、知るために。

ずっと昔に失われたと思われていた、そして、最近発見されたばかりの、海と遺跡の世界≪テリメイン≫。

こうして立ってみたけれど、想定していた魔力の拒絶反応はない。むしろ、よく馴染んでいる感じがする。とはいっても、ここでの魔術を知らない以上、今の私はただの探索者希望のお嬢さん、ってところだ。
カベルから持ち込んだものがすべて元のように使えるかどうかは、まだわからないし。

一応、私の名前を記しておこうと思う。
万が一、この手記をなくしてしまった時、いつか、誰かがこれを読むことがあった時、書いている者の名前くらいは知っておいてほしいから。

私は、エレノア・エヴァンジェリスタ・アルマス。
異形“時忘れ”と命の期限を交換した、異形さえ手に余すほどの命を生きている人間。
今はまだ、人間だと、思っている。

“時忘れ”については、またあとでまとめておこう。
今から、探索者としての登録がある。少しテストがあるって話を聞いているから、なんとしても、合格しないとね。

これから、どんな人と出会えるだろう。どんなものや風景が見れるだろう。
とても楽しみ。

[手記1P目:初日]