Day5:エレノア・エヴァンジェリスタ・アルマスの手記 3P目

(綴られた文章の所々に、メモを書いた付箋が貼られている。)


仲間が出来た。
誰かと一緒に行動できたらいいな、と思っていたけれど、まさか、すぐに叶うなんて思わなかった。
それも、二人。どちらもひとの姿をしているけれど、人間じゃない。それにもすごく驚いた。だって、カベルじゃ探したって見つからないようなひと達と知り合って、さらに一緒に行動できるなんて、今も夢みたいだ。いいことなんだけど、さすがに、ね。

二人のことも、書いておこうと思う。


一人はキノイーグレンス・リーガレッセリー。長い名前なので、私はキノイと呼んでる。

深海人という種族(・初めて聞いた。深海にすむ種族、らしい。)で、海の中に在る国の騎士。下っ端も下っ端と、彼は言っていたけれど、所作は物語に出てくる騎士そのものによく似ていたし、キノイ自身も慣れているようだった。
(・人間の騎士と似たような感じでいいんだろうか。彼の主はどんなひとだろう?)
とても元気が良くて、そしてよく喋る。よくそんなに言葉が出てくるね、と言いたくなるくらいに口が回るから、最初は圧倒されてしまったけど、今は慣れてしまった。たくさん喋るのがデフォルトのせいか、黙ると雰囲気がガラッと変わる。でも、彼自身は明るくて、いい人だと思う。
(・真水は問題なかったみたい、なるべく水は持って歩くことにしよう)


もう一人は、ドリスルーブラ・メルゴモルス。キノイと同様、ドリス、と呼ばせてもらってる。

ネーレーイス、と呼ばれる種族で(・彼女の種族も詳しい資料がない、今度図書館で探す)、腕のいい魔術師。落ち着いていて、穏やかなひとだ。何歳なのかはわからないけど(・さすがに妙齢の女性に年齢を問うのは失礼だと思う、から聞いてない)、私からしてもお姉さん、みたいな感じ。
でも、キノイに対しては、印象が変わる。初めて会って話している最中に、キノイの尻尾(・とても長くて重い、持ったけどびっくりするぐらい重かった)を思い切り踏んづけていたのを見てしまった。怒らせると手や足が出るタイプなのかもしれない。何で怒ったかはわからなかったけど、彼らの間では禁句とかそういうことがあるんだと思う。だからか、ドリスと話すのは、今も少しだけ緊張する。でもきっと、私のことだし、キノイの時みたいにすぐ慣れると思う、多分。
(・手首や足首についている輪は魔導具らしい。重そうに見えるけど彼女は大丈夫、みたい)


ざっと話を聞いたところ、二人はいわゆる昔馴染み、という関係らしいけど、仲が良いのか、悪いのか。遠慮がないのは確かだけど。
ただ、彼らの間には魔術的なリンクがあって、そのせいで二人とも、あまり離れて行動できないらしい。その範囲は時々で変わるようで、一緒に食事をとりに行った時も、何度か、急に引き寄せられる姿を見た。確かにこれだと、動きにくいだろう。
加えて、海で暮らしていたからか、キノイは陸酔い(・私たち人間が言う船酔いみたいなものらしい)がひどいのだという。ドリスはそうでもないみたいだけど、やっぱり海と陸では動きやすさが違うらしく、ずっと陸上で動けるひとを探していたんだとか。そこに声をかけたのが私だった、というわけで。
私が不安を伝えた時、二人は私に、陸上での行動を期待しているといった。彼らは海での行動と戦闘に慣れている、だから、私に戦った経験が少ないことも、気にはしないと。そうまで言ってもらって、同行を断る理由なんて、私にはなかった。

それに、彼らを結ぶ魔術的リンクがどんな魔術によってなされたのかも、気になる点、というか、興味をそそられた点ではある。
私の方でも、何か手掛かりになることがないか、探してみようと思っている。キノイもドリスも魔術について教養があるにもかかわらず、解くことが出来ない強力なリンクで、しかも解除方法が分からない、というのは、調べがいがありそうだから。
(・魔術的リンクについて → 一定範囲内でなら自由に行動可、範囲はその時その時で変わる 範囲を超えると互いに引き寄せられる)
(・↑ 術者はどちら? 発動した元の術式は?)


とにもかくにも、これからも、楽しいことが続くといいな。

[手記3P目:仲間について]