Day12
無知は愚かだとドリスは言った。
正確に言うのであれば、キノイがアルカールカの女王と騎士団を信じて疑わないことが愚かで仕方がない。いっそ滑稽にも思えるくらいだ。
あの女王も、騎士団も、ろくでもないのだ。それをドリスは知っている。
全てを彼に話しても良かったが、止めておいた。今はまだその時ではない。
これはもっと良いタイミングで、より有用に使うべき情報だ。
無知が無知でなくなった時、はてどうなるのやら。あの騎士は自らの信奉を保てるのだろうか?
「見ものね」とドリスは呟く。それは酷く楽しげな声だった。