ニーユの日記:30ページ目


落ち着いてはいる
チカには付き合わせて悪かったと思う
けどやっぱりわからない、どうせならそんな半端に俺に何か言いに来るくらいなら、もっとはっきり俺のことを責めて欲しかった
わからない 何がどう赦すなんだよ なんであんたが赦しに来るんだよ
本当に気持ち悪かった なんでそれで泣くんだ?
わからない

でもきっとこれはわからない俺がどうかしているのも知っている
母親には抱きつきたいものらしい 親の手料理は食べたいものらしい
俺には家族はいない いなかった いなかったことにされた
あの研究所のことはもう家族だとか思いたくないし
俺のことをかわいがってくれたお兄ちゃんはいたけど、それでも他人だった
姉はいるらしい 姉を名乗る男だけど あの人の言うことももう正しいとしか言えないし、そのくらいいろいろなことが俺の過去を補強してくる
誰かが俺達の住んでいたところを焼いた 俺だけ連れ去られた

一周回って羨ましさすらある
身内の死に泣けること その時に理不尽に言葉を叩きつけられる相手がいたこと

俺はもしあの子が死んだ時に泣けるのだろうか