37週目:にひとへ

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これから、わたしと一緒に戦うりょうきの、にひとの話を書きます。
にひとは、「にーゆ・にひと・あるぷとら」という名前の、男の人です。
でも、本当の名前は、「にひと」だけなんだって、言ってました。
にひとは、わたしがきりの国で初めて会った、とても優しくて、強いお兄さんです。

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わたしは最初に会った時、にひとのことがこわいな、と思いました。
見たこともない外国の人で、ものすごく大きな体をしていたからです。
でもにひとは、初めて会ったゆうれいのわたしに、優しく声をかけてくれました。
それから、わたしにたくさんのものをくれました。

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にひとは、おうちに住んでいいと言ってくれました。
それから、るいと会いに海へ行く話をしたら、一緒に戦ってくれると、言ってくれました。
にひととわたしは戦って、たくさんのはいどらを壊して、ようさいの向こうへ、遠くへ行くことが出来るようになりました。

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にひとは、わたしのはいどらはオカミじゃなくて、『ぜーびしぇふ』だと、教えてくれました。
それから、体のないわたしに、とってもすてきな体をくれました。
すてきなお洋服と、靴も、くれました。

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にひととは、大きなお洋服屋さんにも行きました。
それから、お肉と、お菓子と、焼き芋の、ぱーてぃーも、しました。

他にも、書ききれないくらい、いっぱい、いっぱい思い出を作りました。

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わたしは、にひとの事が心配です。
他の人にもすごく優しくて、たくさんのことをしてしまう人だからです。
この頃は、戦場じゃない時も、お家に帰ってくるのがおそいです。
顔も、お仕事から帰ってきたお父さんよりもずっと、けわしい顔をしています。

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にひとは一度、すごく大きなけがをしました。
その時はまだ体がなくて、わたしはすごく悲しくて、泣いてしまいました。
にひとに何も出来ないのが、くやしかったからです。

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わたしは、にひとが大好きです。
だから、誰よりもずっと、ずっと、死んでほしくないと思っています。
わたしは体をもらった時から、にひとにたくさん、お手伝いしようと思いました。
わたしを守ってくれてる分だけ、いっぱい、恩返しをしようと思いました。

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わたしは、今がとってもとっても、幸せです。
ゆにおんのみんなや、お店に来る人とお話するとも楽しいけど。何より大好きなにひとの側にいられるのが、嬉しいからです。
るいと一緒にいる時ぐらい嬉しいのは、きっと、初めてです。

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にひとは、海を見たことが無いと、言っていました。
わたしも、本当の海は、見たことがありません。
だからわたしは、にひとと海を見るのが、今の、一番の夢です。

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海を見に行ったら、わたしはどうなるのか、まだ、分かりません。
るいは怒るかもしれないし、喜んでくれるかもしれないし、もしかしたら、いないかもしれません。
それでも、にひとと、海を見に行きたいと、思っています。

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次のようさいは、もうすぐです。
わたしは、明日もにひとと戦いに行きます。

どうか今度も、にひとが生きていてくれますように。
それから今度こそ、海が見られますように。
みおはきりの国の神様に、心からお祈りすることにしました。

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(文章はここで途切れているようだ)